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虹色の楽譜
第3章 黄
「お前、彼女に何も言ってないの?」

今までの丁寧な言葉から
少し、乱暴な言葉遣いになって。
あぁ。この二人って仲がいいんだ。なんて思った。

「俺が言っただろ?帰る前には言えって」
「言おうと思ったけど!なかなか言えないんだよ!」
「意気地がないな!」
「豪さんだって人の事、言えるのかよ。
響子さんの方が先に動いたんじゃないのかよ」
「大人には色々あるんだよ」
「俺だって子供じゃない」
「子供だろ。子供は素直に言えば良いんだよ」
「子供だって色々あるんだよ」

「あの・・・・」

奏くんとオーナーのヒソヒソとは言えない内緒話に
半分呆れて声をかけた。

「奏くんが今日のデートの相談をしたのはオーナーなのね?」
「まぁ」

私たちの会話をニヤニヤしながらオーナーは口を挟まずに眺めていた。

「茜さん。俺はまだ大学生だし。茜さんの周りにいる男に比べたら
まだ子供だけど。この前一目見た時から、もう茜さん以外は考えられないんだ。
今日1日デートしてくれて、もし嫌じゃなかったら
これからも会ってほしいんだけど」

「私も。奏くんの演奏が気になって。
ずっと聴いていたいと思ったのが始め。
それから今日は1日楽しくて。また会いたいと思う」

「やった!」

高級なお店の1番、奥の席で。
オーナーとピアノ演奏者がハイタッチしてるって聞いたら。
常連のお客様はなんて思うのかな。
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