この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
虹色の楽譜
第4章 緑
珍しく、エントランスを行ったり来たりの広報部の皆さんが
スマホを片手に慌てていた。
「広報部。何かあったんでしょうか?」
隣に座っている同じく受付の井上さんに聞いたら
「どうも、今日撮影予定のCMのピアノの伴奏者が
指を怪我したらしいの。
イメージに合わせて社長の知り合いの方に作曲をして頂いているから
今更、曲の変更は会社の体面上できないし
かと言って、初見でその曲を弾きこなせる演奏者が見つからないらしいのよ」
「それは大変ですね。プロの方でも難しいんですか?」
「どうしても今日録音しないと間に合わないらしいんだけど。
プロの方はそんな仕事は引き受けないらしいの」
「ああ、なるほど」
そんなときにエントランスで加藤さんが
「音大まで広げろ!音大に連絡を取って
ピアノ科のトップを紹介してもらえ!」と電話に向かって叫んでいた。
え?大学生でも、良いの?
そう思っていたら受付の隣を柳下さんが通った。
「柳下さんっ」
「はい?」
「一人演奏者の心当たりがありますっ」
私をじっと見つめた柳下さんが
「だれ?」と急かすように聞いた。
「音大生ですが、ほぼ毎日レストランで弾いています。
バックミュージックなら得意です」
ピアノの事は何も分からない私だけど
奏くんの腕が相当なのは分かる。
それでも「俺なんかダメだよ」と言った奏くん。
万が一でも、これが何かのきっかけになればいいと思った。
スマホを片手に慌てていた。
「広報部。何かあったんでしょうか?」
隣に座っている同じく受付の井上さんに聞いたら
「どうも、今日撮影予定のCMのピアノの伴奏者が
指を怪我したらしいの。
イメージに合わせて社長の知り合いの方に作曲をして頂いているから
今更、曲の変更は会社の体面上できないし
かと言って、初見でその曲を弾きこなせる演奏者が見つからないらしいのよ」
「それは大変ですね。プロの方でも難しいんですか?」
「どうしても今日録音しないと間に合わないらしいんだけど。
プロの方はそんな仕事は引き受けないらしいの」
「ああ、なるほど」
そんなときにエントランスで加藤さんが
「音大まで広げろ!音大に連絡を取って
ピアノ科のトップを紹介してもらえ!」と電話に向かって叫んでいた。
え?大学生でも、良いの?
そう思っていたら受付の隣を柳下さんが通った。
「柳下さんっ」
「はい?」
「一人演奏者の心当たりがありますっ」
私をじっと見つめた柳下さんが
「だれ?」と急かすように聞いた。
「音大生ですが、ほぼ毎日レストランで弾いています。
バックミュージックなら得意です」
ピアノの事は何も分からない私だけど
奏くんの腕が相当なのは分かる。
それでも「俺なんかダメだよ」と言った奏くん。
万が一でも、これが何かのきっかけになればいいと思った。