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虹色の楽譜
第4章 緑
「セミプロ・・・か」
「・・・・」
「連絡取れる?」
「至急とります」
「一人見つかりましたが弾けなかった場合に備えて引き続き探してください」
と柳下さんが大きな声で指示を出した。

奏くんはこの時間は授業だろうか?
それでも祈るようにして奏くんの携帯に連絡を付けた。

何回かの呼び出し音の後に
「茜さん?」
と、この時間の電話に不思議そうに答えた。

「会社でピアノの演奏者が必要なの。お願い助けて」

しばらく無言だった奏くんが
「どこに行けばいいの?」
と、優しく聞いてきた。

初見で弾ける演奏者が少ないとか
難しい楽譜だとか、そんなことは私には分からないけど。

こんなに必死になって演奏者を見つけてるって事は
弾ける技術の人が少ないってことなんだろう。

ウチの広報部はそれなりにツテを持ってるハズなのに。

井上さんに受付を任せて、
上の報告は俺が責任持つからと広報部の加藤さんに言われて
私は広報部といっしょに約束したスタジオに行くと
奏くんはすでに来ていた。

「小野寺?」
柳下さんが驚いた声でつぶやいた。
奏くんをしってるの?

そんな声を遮るように加藤さんが
「横浜ホールディング、広報部の加藤です。
急な事で申し訳ありませんがこの楽譜を見て
1時間後に録音が開始できますか?」

そう言って楽譜を奏くんに渡した。
奏くんはその楽譜を受け取って
ぱらぱらとめくり、
「この先生の特徴は存じてます。1時間あれば問題ありません」
といいきった。

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