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虹色の楽譜
第4章 緑
「俺の。記憶の中にある小野寺とはだいぶ違う。
確かに楽譜に寄り添った、昔ながらの見事なまでのテクニックだけど。
華やかに弾いてるのが分かるよ」
華やかに・・・・・
「何かが小野寺を変えたのかもしれないな」
嬉しそうに。少し悔しそうに。
そんなことを言った。
奏くんは数回弾いて、OKをもらった。
私もこのまま、帰っていいよと加藤さんに言われ
奏くんと一緒にスタジオを出た。
すっかり日も暮れて。
バイトの時間になろうとしていたので
2人は無言でお店に向かった。
素晴らしかったのに。
素敵な演奏だったのに。
そんな言葉をかける雰囲気じゃなくて。
奏くんは自分の両手をじっと眺めながら歩いていた。
何かが違う。
それがなんだかわからなくて。
なんだか怖くて
話しかけることなんか出来なかった。
コンクールに出ればいいのに。
そう言った私の言葉をどんなふうに聞いていたんだろう。
隠された奏くんの過去を思いもかけずに知ってしまった今。
なんて声を掛けたらいいのか私には分からなかった。
それでも、奏くんの音がモノトーンだなんて
微塵も思わない。
全ての色と感情を持っているかのように
私の耳に届いたその音は
専門家が聞いたら今でも白黒なんだろうか?
確かに楽譜に寄り添った、昔ながらの見事なまでのテクニックだけど。
華やかに弾いてるのが分かるよ」
華やかに・・・・・
「何かが小野寺を変えたのかもしれないな」
嬉しそうに。少し悔しそうに。
そんなことを言った。
奏くんは数回弾いて、OKをもらった。
私もこのまま、帰っていいよと加藤さんに言われ
奏くんと一緒にスタジオを出た。
すっかり日も暮れて。
バイトの時間になろうとしていたので
2人は無言でお店に向かった。
素晴らしかったのに。
素敵な演奏だったのに。
そんな言葉をかける雰囲気じゃなくて。
奏くんは自分の両手をじっと眺めながら歩いていた。
何かが違う。
それがなんだかわからなくて。
なんだか怖くて
話しかけることなんか出来なかった。
コンクールに出ればいいのに。
そう言った私の言葉をどんなふうに聞いていたんだろう。
隠された奏くんの過去を思いもかけずに知ってしまった今。
なんて声を掛けたらいいのか私には分からなかった。
それでも、奏くんの音がモノトーンだなんて
微塵も思わない。
全ての色と感情を持っているかのように
私の耳に届いたその音は
専門家が聞いたら今でも白黒なんだろうか?