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虹色の楽譜
第4章 緑
「俺は少しやってただけ。
中学でピアノはあっさり辞めて、高校は吹奏楽部だったんだけど。
小野寺はその頃出てきたピアノ界の神童でね。
国内の大きなジュニアコンクールは総嘗めにしているはずだよ」
「へぇ・・・」
なんでそんな人が、レストランのピアノ弾き・・・?
「小さい頃は良かったんだ。
まるで楽譜をコピーしたように正確に演奏するんだ。
そのリズムは絶対に狂わない」
私の感じた疑問に答えるように柳下さんが教えてくれた。
「でも中学生ぐらいになって、ただ正確に弾けるだけじゃダメになってきて
心情や表現力も審査の対象になると途端に消えて行ったんだ」
「消えた?」
「そう。コンクールの入賞者一覧から消えたんだよ」
「・・・・」
「小野寺奏の演奏は色がない。彼の演奏はまるでモノトーンだ」
「・・・・」
「って言うのが最後に公のコンクールに出た時の審査の評だった」
モノトーンの・・・・音?
「それでも、あの時代にコンクールに出たやつらは
小野寺の事を覚えているはずだよ。
凡人がどんなに望もうと、どんなに練習しようと手に入らない
天性の音感ってやつを持ってるんだ」
天性の音感・・・
「今、レストランで弾いてるのか。
そうか・・・ピアノは辞めていないんだな」
柳下さんは、ほんの少し嬉しそうにいった。
「私には音楽の事なんか何も分かりませんが。
この音が、モノトーンですか・・?」
中学でピアノはあっさり辞めて、高校は吹奏楽部だったんだけど。
小野寺はその頃出てきたピアノ界の神童でね。
国内の大きなジュニアコンクールは総嘗めにしているはずだよ」
「へぇ・・・」
なんでそんな人が、レストランのピアノ弾き・・・?
「小さい頃は良かったんだ。
まるで楽譜をコピーしたように正確に演奏するんだ。
そのリズムは絶対に狂わない」
私の感じた疑問に答えるように柳下さんが教えてくれた。
「でも中学生ぐらいになって、ただ正確に弾けるだけじゃダメになってきて
心情や表現力も審査の対象になると途端に消えて行ったんだ」
「消えた?」
「そう。コンクールの入賞者一覧から消えたんだよ」
「・・・・」
「小野寺奏の演奏は色がない。彼の演奏はまるでモノトーンだ」
「・・・・」
「って言うのが最後に公のコンクールに出た時の審査の評だった」
モノトーンの・・・・音?
「それでも、あの時代にコンクールに出たやつらは
小野寺の事を覚えているはずだよ。
凡人がどんなに望もうと、どんなに練習しようと手に入らない
天性の音感ってやつを持ってるんだ」
天性の音感・・・
「今、レストランで弾いてるのか。
そうか・・・ピアノは辞めていないんだな」
柳下さんは、ほんの少し嬉しそうにいった。
「私には音楽の事なんか何も分かりませんが。
この音が、モノトーンですか・・?」