この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
虹色の楽譜
第5章 青
「まだ・・・まだ奏くんが優勝だとは決まっていません」
それだけ言うのがやっとだった。
「決まったよ。素人の村松さんが聴いても分かっただろ?
小野寺の演奏はケタ違いだった」
「・・・・」
「このコンクールの結果が、君たちにとって・・・
いい方向に向かう事を願うよ」
そう言って柳下さんは帰って行った。
まだ。まだ決まっていない。
奏くんが優勝するのが嬉しいのか、それとも優勝しない方がいいのか。
私には分からない。
でも、私たちは始まったばかりで。
まだ何もしてないの。
私たちはこれからなのに。
祈るようにその後の演奏者を聴いて、そして順位の発表になった。
私の願いは叶えられ
私の願いはむなしく
そして柳下さんの予想通り。
小野寺奏は優勝した。
あまりの実力の違いからか。
2位は該当者なし。
それほど、奏くんの演奏は私たちに、審査員に訴えかけるものだった。
バラバラと聴衆が席を立ち
帰りだしても、私は席を立てなかった。
音を消していたスマホに静かにメールが入った。
奏くんだ。
=茜さん。どこ?一緒に帰ろう=
それだけ言うのがやっとだった。
「決まったよ。素人の村松さんが聴いても分かっただろ?
小野寺の演奏はケタ違いだった」
「・・・・」
「このコンクールの結果が、君たちにとって・・・
いい方向に向かう事を願うよ」
そう言って柳下さんは帰って行った。
まだ。まだ決まっていない。
奏くんが優勝するのが嬉しいのか、それとも優勝しない方がいいのか。
私には分からない。
でも、私たちは始まったばかりで。
まだ何もしてないの。
私たちはこれからなのに。
祈るようにその後の演奏者を聴いて、そして順位の発表になった。
私の願いは叶えられ
私の願いはむなしく
そして柳下さんの予想通り。
小野寺奏は優勝した。
あまりの実力の違いからか。
2位は該当者なし。
それほど、奏くんの演奏は私たちに、審査員に訴えかけるものだった。
バラバラと聴衆が席を立ち
帰りだしても、私は席を立てなかった。
音を消していたスマホに静かにメールが入った。
奏くんだ。
=茜さん。どこ?一緒に帰ろう=