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虹色の楽譜
第1章 赤
数日後。どうしてもあの音が気になって
レストランに来てしまった。
ドアをそっと開けると
静かにボーイが近付いてきて。
「ご予約は?」
と聞く。当り前よね。ここは完全予約制だ。
軽く首を振ると
「お客様、申し訳ございませんが当店は完全予約となっております」
と、小さな声で言ったけど。
もらった名刺を見せると
ほんの少し。そう。気がつかない程度に私の顔をみて
「こちらへ」
と、ピアノの前へ案内してくれた。
すでに弾き始めていたその音は、この前の音と何の遜色もなく
私の耳にすんなり入ってきた。
「また、音を支配してる」
数曲弾いた後にピアノの照明が落とされると
軽く会釈をした彼は壇上を降りて目の前の私の席に座った。
「来てくれないのかと思った」
そう言って近くのボーイにシャブリを頼んだ。
ピアノの演奏が終わってさっきより明るくなった店内で
近くで彼を見れば、思った以上に若い。
怪訝そうな顔をしてみる私に
「お酒は飲める年齢だよ」
と、苦笑いした。
「いくつ?」
それでも確かめずにはいられなくて
じっと目を見て聞いてみれば
「ハタチ」と
小さく笑った。
レストランに来てしまった。
ドアをそっと開けると
静かにボーイが近付いてきて。
「ご予約は?」
と聞く。当り前よね。ここは完全予約制だ。
軽く首を振ると
「お客様、申し訳ございませんが当店は完全予約となっております」
と、小さな声で言ったけど。
もらった名刺を見せると
ほんの少し。そう。気がつかない程度に私の顔をみて
「こちらへ」
と、ピアノの前へ案内してくれた。
すでに弾き始めていたその音は、この前の音と何の遜色もなく
私の耳にすんなり入ってきた。
「また、音を支配してる」
数曲弾いた後にピアノの照明が落とされると
軽く会釈をした彼は壇上を降りて目の前の私の席に座った。
「来てくれないのかと思った」
そう言って近くのボーイにシャブリを頼んだ。
ピアノの演奏が終わってさっきより明るくなった店内で
近くで彼を見れば、思った以上に若い。
怪訝そうな顔をしてみる私に
「お酒は飲める年齢だよ」
と、苦笑いした。
「いくつ?」
それでも確かめずにはいられなくて
じっと目を見て聞いてみれば
「ハタチ」と
小さく笑った。