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虹色の楽譜
第2章 橙
「ううん。奏くんの演奏がなぜか好きなの。
練習で良いから聴きたいな」
あの音は不思議な魅力がある。
人を引き付けてやまない。
「良いけど」
「ありがとう。じゃぁ行こうか」
半ば、無理やり承諾を得た見学に
今日のデートと同じぐらいワクワクした。
もう1度あの音をこの耳で聞きたい。
桜木町にほど近いお店でズボンのポケットから出した鍵で
お店の裏口を開け
ピアノの周りの照明を付けた。
営業時間のそれより数段明るい照明の中で
シャツの胸ポケットからメガネを取り出して
数枚の楽譜を並べた。
顔が・・・・
今まで私と一緒にいた顔と違う。
はにかんだり、優しそうに笑ったり
楽しそうにしていたハタチの顔から一転して
大人の男の顔になった。
両手の中指にフッと息を吹きかけたかと思ったら
ものすごい勢いでピアノの音をはじき出した。
レストランのバックミュージックとしての
存在感を感じさせない静かな音楽とは違って
一気に目が覚めるような音の羅列に面食らった。
それでも必死な演奏の奏くんになにも言う事が出来ず
必死に私もその音を追う。
練習で良いから聴きたいな」
あの音は不思議な魅力がある。
人を引き付けてやまない。
「良いけど」
「ありがとう。じゃぁ行こうか」
半ば、無理やり承諾を得た見学に
今日のデートと同じぐらいワクワクした。
もう1度あの音をこの耳で聞きたい。
桜木町にほど近いお店でズボンのポケットから出した鍵で
お店の裏口を開け
ピアノの周りの照明を付けた。
営業時間のそれより数段明るい照明の中で
シャツの胸ポケットからメガネを取り出して
数枚の楽譜を並べた。
顔が・・・・
今まで私と一緒にいた顔と違う。
はにかんだり、優しそうに笑ったり
楽しそうにしていたハタチの顔から一転して
大人の男の顔になった。
両手の中指にフッと息を吹きかけたかと思ったら
ものすごい勢いでピアノの音をはじき出した。
レストランのバックミュージックとしての
存在感を感じさせない静かな音楽とは違って
一気に目が覚めるような音の羅列に面食らった。
それでも必死な演奏の奏くんになにも言う事が出来ず
必死に私もその音を追う。