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欲望お伽噺
第1章 不思議の国の迷い子
《アリス、アリス起きてアリス!》
見知らぬ誰かの声がする。どうせ医者か看護士が薬を与えに来たのだ。せっかくあの世界に戻る夢を見ていたのに…。
「ん…いや、夢から醒めたくないもの…」
【アリスは難しいことを言う。夢から醒める?寝る前と寝てるとき、どっちが夢かお前は解るか?】
{決まってる!お茶の時間だ!}
騒がしい声にハッとなり、アリスは慌てて飛び起きた。見知った顔がアリスをよそに、お茶の準備や談笑を続けている。
アリスが寝ているのは長い長い食卓の上。いつか幼い自分がウサギを追いかけた先でたどり着いたお茶会のテーブルだ。
イカレ帽子屋と三月ウサギ、眠りネズミが毎日お茶会をしているあのテーブル。
「私、戻ってきたのね…。うふふ、嬉しい!」
《アリス!ご機嫌よう!》
声の主は三月ウサギの格好をしていた。しかし三月ウサギはウサギではなく、人の姿になっている。
モジャモジャの髭に逞しい褐色の身体。瞳は薄いブルーで、狂ったように笑う歯が白く輝いている。
【裁判は終わった、もう時間がない!時間はもうないんだ!】
次は白兎だ。白兎もまたウサギではなく、白い燕尾服にふわふわのカラーを付けた背の高い華奢な青年に変わっていた。プラチナブロンドが目に眩しく、グリーンの瞳はさながらエメラルドのよう。
時計を地面に叩きつけて壊しながら、何度も画面を確認している。
{皆席につきたまえ、アリスが気付いたらお茶会をはじめるぞ!アリスが我々の仲間になったのだ、誰のもとに加わるのか決めてもらわなくては!}
イカレ帽子屋は相変わらずの姿だった。
ボサボサの黒髪にくたびれたシルクハットを乗せ、ギョロギョロした大きい紫色の瞳を忙しなく動かしている。骨張った身体は華奢ながら武骨で、長い手足を更に長く見せていた。
「みんなご機嫌よう!私は起きているわ。」
《【{ご機嫌ようアリス!早速相手を決めてくれ!!}】》
見知らぬ誰かの声がする。どうせ医者か看護士が薬を与えに来たのだ。せっかくあの世界に戻る夢を見ていたのに…。
「ん…いや、夢から醒めたくないもの…」
【アリスは難しいことを言う。夢から醒める?寝る前と寝てるとき、どっちが夢かお前は解るか?】
{決まってる!お茶の時間だ!}
騒がしい声にハッとなり、アリスは慌てて飛び起きた。見知った顔がアリスをよそに、お茶の準備や談笑を続けている。
アリスが寝ているのは長い長い食卓の上。いつか幼い自分がウサギを追いかけた先でたどり着いたお茶会のテーブルだ。
イカレ帽子屋と三月ウサギ、眠りネズミが毎日お茶会をしているあのテーブル。
「私、戻ってきたのね…。うふふ、嬉しい!」
《アリス!ご機嫌よう!》
声の主は三月ウサギの格好をしていた。しかし三月ウサギはウサギではなく、人の姿になっている。
モジャモジャの髭に逞しい褐色の身体。瞳は薄いブルーで、狂ったように笑う歯が白く輝いている。
【裁判は終わった、もう時間がない!時間はもうないんだ!】
次は白兎だ。白兎もまたウサギではなく、白い燕尾服にふわふわのカラーを付けた背の高い華奢な青年に変わっていた。プラチナブロンドが目に眩しく、グリーンの瞳はさながらエメラルドのよう。
時計を地面に叩きつけて壊しながら、何度も画面を確認している。
{皆席につきたまえ、アリスが気付いたらお茶会をはじめるぞ!アリスが我々の仲間になったのだ、誰のもとに加わるのか決めてもらわなくては!}
イカレ帽子屋は相変わらずの姿だった。
ボサボサの黒髪にくたびれたシルクハットを乗せ、ギョロギョロした大きい紫色の瞳を忙しなく動かしている。骨張った身体は華奢ながら武骨で、長い手足を更に長く見せていた。
「みんなご機嫌よう!私は起きているわ。」
《【{ご機嫌ようアリス!早速相手を決めてくれ!!}】》