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欲望お伽噺
第1章 不思議の国の迷い子
「私を作る前?…あ、わかった!簡単よ、結婚だわ!結婚相手を決めればいいのよね?」

〔違う違う、セックスだよ、セックス。やっぱり知らなかったな。〕

【いいさ、1日目のやつが教えてやればいい。】

《そうだとも。皆で教えてやろう!》

{アリスを立派に育ててやろう!}

〔じゃあアリスの家で1人目を決めようじゃないか〕

「セックス?セックスってなぁに?」

ひとり訳のわからないアリスは仲間はずれにされた気分になり、皆の腕をつかんで揺する。
皆は下卑た笑みを浮かべながら、アリスの頭を撫でたり腰に触れたりするばかり。

〔まぁ、すればわかるさ。さっさと行こうか〕

チェシャ猫が指を鳴らし、一瞬のうちに見知らぬ家のロビーに立っていた。

ドールハウスのような小さい家の、二階には大きく♥マークの扉がある。一階にはキッチンと食材部屋があり、ロビーは狭いながらも応接間のようにソファーとローテーブルが置かれている。

向こうで四人があれやこれやと言い合いをしているうちに、アリスはロビーの床に目を落とした。
ロビーはトランプをあしらった模様がなされているのだと思っていたが、よく見ると本物のトランプの兵士が使われていたのだ。

よく見ればあちこちに兵士の顔が見える。皆一様に目を瞑っているが、人の顔がついているのは不気味なものだ。

きっと無用になった兵士を固めてこの家を作ったのだ。この様子じゃ、女王や王様は無事じゃあるまい。

{よし!僕が1人目!私が1人目だ!さあ皆ここから出ていけ、俺とアリスの1日目が始まるぞ!}

イカレ帽子屋が頭の上で手を叩き躍り狂っている。
今日は彼を試すことに決まったようだ。
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