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オーバーナイトケース
第3章 不思議な出会い
「これ・・このバッグ、素敵ですよね。
 形がまず気に入ったんです。大きさも。
 あと、なんと言ってもこの色、素敵な色ですよね。
 藍染を思わせる深い紺色・・普通なら黒とか選んじゃうんですけどね。
 あまり見ないし、良い色だなって、気に入ったんです」


服装のセンスのいいこの男が選んだだけあるな、と納得させられる逸品だと思う。

だが私の褒め言葉に、男は口元で笑っただけで目は凍りついたまま、
ビールを半分ほど飲み干した。


「あなたに気に入ってもらえたのも嬉しいけど・・
 まさかリサイクルショップに売っちまったとはね・・
 おまけにその事実を知ってしまうなんて・・なんて偶然なんでしょうね」


本当だ。
ため息交じりの男の言葉に私も頷かずにはいられなかった。


「あの・・その彼女とは・・?」


私の問いかけに顔をあげ、こちらへ向けたその顔は
どことなく浩介に似ていた。



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