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オーバーナイトケース
第4章 運命に導かれ・・
あの夜、西麻布のバーで出会い
このバッグが引き合わせてくれた吉川雅也が、
私の恋人になったのはあれからすぐのことだった。

友達づきあいをはじめて3度目の食事の時、雅也から告白された。
付き合ってほしいと言われた。

そしてその夜私たちは関係を変えた。

友達から恋人へと。


2つ年下の雅也。
仕事が好きで、センスが良くて、私のことを大切に愛してくれる雅也。

幸せだけを感じさせてくれる彼と、一生歩いていきたいと心底思った。


「このバッグが無かったら・・
 私がこのバッグを手に入れなかったら雅也とあんなふうに
 ドラマチックな出会いをすることもなかったわけじゃない?
 大事な大事なバッグだもん。壊れるまで使い続けるわよ。
 まぁ・・こんなに仕立てのいいバッグじゃなかなか壊れないだろうけどね」


こだわりぬかれた職人技の光るフランス製のバッグだ。
メンテナンスしながら一生使える。
私はこのバッグをクローゼットの奥に押し込む気などさらさらなかった。


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