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揺れる恋 めぐる愛
第5章 光明と暗黒
翌朝目が覚めた時、私はここがどこなのか……

わからなかった。

それなのに、真帆の家に置きっぱなしのはずの部屋着に

身を包んでいる自分は……

まだ幸せだった学生時代の頃の自分ではないのかと

思わず錯覚してしまいそうになった。

起き上がってきょろきょろとすると、ここは真帆のベッドで……

懐かしい景色に涙が零れた。


昨日、新幹線に乗って先輩の家まで行って……

そして、信じられない現実に茫然とした。

真帆の「無理するな。相手は私だ。泣きたいなら……」

という言葉で堪えていたものが一気に緩んだ涙腺。

躰の水分を全部出し尽くしてしまうんじゃないかと思う程、

泣きじゃくった私の目は……

しっかりと腫れていた。


昨夜床にあったはずの布団は片づけられていて、真帆は……

もういなかった。

そのまま起きる気がしなくて、もう一度ベッドに横になった。


天上を見上げ、ただ幾何学模様の太い線を視線でなぞっていく。

ここで一緒に寝るとき、いつもついしてしまうことだった。

でもいつもなら床の布団でそうだったけど……

そんなことを思っていると、間もなくその線は涙で霞んで……

しばらくして見えなくなった。
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