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揺れる恋 めぐる愛
第6章 宣告と告白
それなのに私はある日唐突に、その超えてはいけないとわかっている壁を

あっさりと乗り越えてしまう……


その瞬間(とき)は高望みだと思った事が思わず掌に落ちてきて……

叶った悦びで何もかもがバラ色に見え、

それが本当にどういう事なのか、という現実に向き合っていなかった。

ただのバカで盲目な子どもだった。

だからこそ騙され貪られ利用されたのだろうけど……


全てを知らされて捨てられたあの時、

もう私には何も残っていないのだと知った。

知らなかったとはいえ犯した罪の重さと、

そんなことも見抜けない幼くバカだった自分の愚かさを、

何度も何度も繰り返し呪った。

あんなに惨めな状態で、嫌というほど思い知ったはずなのに……

結局私は何も学んでいなかったということなのだろうか?


纏わりつく記憶を振り払いながら、なんとか家までたどり着く。

ドアを乱暴に引いて中に駆け込むと同時に、その場にへたり込んだ……

視界が揺らめき、涙が溢れる。


胸の中で渦巻く嵐は、しばらく去ってくれはしなかった。

それでもその暗闇の先に小さな光がちらつく。

主任が私に何かを贈ってくれるのならと……

複雑な気持ちで待った。


しかし……

いつまでたってもはにかんでいた主任が、

私の前に現れることはなかった。
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