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揺れる恋 めぐる愛
第6章 宣告と告白
この人には、何もかも見えているの?

透視能力でもあるのだろうか?

それとも、私がわかりやすいだけ……

ここのところの私の様子を見て何かあったことぐらい、

勘のいいこの人なら分かるのだろう。


それにしてももう半年……

いや1年近くたったんだと思う。

自分の中ではそれほど時間が流れたことには自覚がなかった。

あの時拒絶したまま別れたのが最後で……

メールで会いたいと言われたきり突然連絡すら取れなくなった。

そのことを鮮明に思い出すと、もうずいぶん時間が流れたはずなのに

幾度目かわからない苦いものが込み上げてきた。


私は、何も言いたくなくてカップに手を伸ばす。

震える手で砂糖を入れ、静かにスプーンで混ぜた。

それから視線を伏し目がちに紅茶を口に含んで飲む。

そのしぐさを静かに見つめながら、主任も飲み物に手を伸ばした。

二人は向かい合ったまま、黙々と飲み物を口に運ぶ。


私は温かい紅茶の香りを楽しもうとカップを両手に持ち、

鼻のそばに引き寄せる。

手の中にぬくもりを感じ、目を閉じると心地いい紅茶の香りは……

先輩を思い出させた。


目じりに浮かびそうになる涙を堪えるように、

カップを持つ手に力を込める。

「もう、苦しむな。お前が悪いんじゃない。

悪いのは全部……

奴だろう?」

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