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揺れる恋 めぐる愛
第7章 執着と決別
飛び込んだ主任の胸の中は、少し硬くて……

とても暖かかった。


もうしばらくこんなふうに誰にも抱きしめてもらっていない。

でもいつも抱きしめてくれていた胸と違うことを思い出し、顔を上げると

主任が前を見つめたまま私の頭に掌を伸ばしてきた……

ゆっくりと頭頂から髪を何度も何度も撫でつける。


いつも強引で自分勝手な主任に不似合いな優しいしぐさに

胸が暖かくなって……

この温もりがどうして先輩のモノじゃないのだろうと思うと

無性に寂しくなって堪えていた涙が再び溢れてきた。


なんであんなメールを送ってくるのだろう……

私からの反論は受け付けてもらえないのに。

そう、先輩から完全に拒否されている。

その残酷で不条理な現実を何度も突きつけられても

納得なんてできるわけなかった。


胸に顔を何度も押し付けて声を殺して涙を流していると、

主任が何も言わずギュッと強く抱きしめてくれた。


この人はこういうことをよくわかっている。

人の心の機微を読むことが……

うまい。

それだけに私はうまく騙されているんじゃないかと思うことがよくある。

こんな仕事もできる優秀な人が、私なんかのことを必要だなんて……

ありえないから。


「一緒にいてやるから我慢せずに泣けよ……」
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