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揺れる恋 めぐる愛
第7章 執着と決別
顔を見ようとチラリと視線を上に向けたが、

溢れる涙で視界が揺らめき、主任は前を向いたままで、

何を考えて言っているのかわからない……

それでももうこんな私を受け止めてくれていた先輩は

いないのだと思うと、我慢していた嗚咽がするりと口から零れた……


「うぅ~、あぁ~、あ~」

声を出すと、溢れていた涙が益々止まらなくなった……

そのまましばらく気が済むまで縋り付いて胸に顔を何度も擦り付けながら

おいおいと声を上げて泣いた。

嗚咽を洩らしながら泣きじゃくる私を、主任はただ静かに抱きしめていた。


どのくらい泣いたのだろうか?

涙も枯れ果てて、そんな幼子のように泣いていた事が突然恥ずかしくなり、

主任の抱擁から逃れようともがいた。

本当はこんな姿だけは主任に見られたくなかった。

この前まで持ちこたえていたのに……

何かが決壊したのだろうか?

こんなことくらいで、涙があふれてどうにもならない。

私が逃げようとしたことに気が付いたのか主任は逃がさないと

言わんばかりにより私を強く抱きしめて、

耳元に向かってささやく。


「忘れろったってそんな簡単には無理だろう?

それでいい。そのままでいい。

ただ、もう前だけ見ろ。俺だけを見てればいい……」

私は胸の中から主任を見上げるとその瞳は切なげに揺れていた。


「俺だけを感じてろ……」
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