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揺れる恋 めぐる愛
第8章 羨望と嫉妬
部屋に入ると、主任はテーブルの横に

無造作に置いてあったバックを見て顔をしかめる。

「どこかにいっていたのか?」

そう言いつつ、ハッとしたような表情をして、

私を下から上に舐めまわす様に見つめる。

その視線に嫉妬を感じた私は、不謹慎にも嬉しい気持ちになった。


主任にとって私は……

そういう存在ではあるのかもしれない。

それならさっき見たものは、光景はいったい何なのだろうか?


「友達とちょっと……」

その奥にある自分の気持ちを悟られたくなくて

視線をそらしながらそれだけ言った。

言ったことは紛れもない事実だから……

「お前が誰かと出かけるなんて……

本当に珍しいな」

「そうですね。主任に連れ出されない限り、

この頃外出はしてませんでしたね」

元々インドア派の私。

あんなことがあってからは……

沈んだ気持ちのままただ部屋にこもってしまい益々外に出なくなった。

主任が連れ出さなければ、季節が巡っていることすら

感じなかったかもしれない。

それほど仕事と、先輩とのこと以外何もかもがわからなくなり、どうでもよくなっていた。


私が考え事をして、自分を置き去りにされているのが気に入らないのか

少し怪訝そうな表情をしながら主任は入り口から奥の方に座る。

私はテーブルを挟んで反対側のバックを置いている方に腰を下ろした。
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