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揺れる恋 めぐる愛
第8章 羨望と嫉妬
「相変わらず……

ですね」

「ハハハハ……

そうだな。

どうしようもない男だろ?」

主任はとても寛いだ様子で、噛みしめるように

しばらく自分の事を嘲笑していた。


「でも……

お前の前で今更偽善者ぶっても仕方がないんじゃないのか?

知ってのとおり俺は所詮自分本位の身勝手な男だ。

お前はそんなこととっくの昔にお見通しだろう?

それでも俺を避けない。拒否しない。

だから……

だからこそ、俺にはお前が必要なんだよ」

主任には私が必要?

見つめると、細めた優しい目で見つめ返された。

一瞬騙されそうになって思い出す。

本当に勝手な人が他人を……

こんな私を必要となんてしてるんだろうか?


「俺のこと……

嫌か?」

無言のまま即座に首を振る。

嫌いなら、今こんな関係になっていない。

そもそも玄関にすら入れない。


もう昔の……

私じゃない。

嫌なものは嫌と言える、拒否できる私になったはずだから……


最後の部分で結局許して受け入れてしまう主任を、

私は嫌いとは思っていない。

そのはずだろう……


「じゃ、もういい加減にいいんじゃないか?

あとはお前がそこを越えてくるだけだろ?」

「そこ?」

「おとこ」

無表情の主任。

それを越えてるのはどうして私なのだろうか?

しばらく無言になった。
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