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揺れる恋 めぐる愛
第8章 羨望と嫉妬
彼には彼の苦しみが、悲しみが……

私には私の憂いが、迷いが……

ある。


それぞれが別の人間である以上全てを分かる事なんて……

絶対にできない。

分かり合うことも……

簡単じゃないはずだ。

歳を重ねれば、重ねる程、人として成熟すればするほどに、

それはより難しくなる。

人は長く生きれば生きる程ただひたすらに……

簡単には人を信じることができなくなってしまう。


それでもどれだけお互いをわかろうと、寄り添おうと行動を起こすのか……

知ろうとするのか……

それを続けることができるのか……

だろう。

私はこの複雑で身勝手でそれでいて細やかな気遣いをする彼の事を

もっと深く知りたい……


意を決して伸びてきた掌を握り返すと冷たい掌がじっとりと汗ばんでいた。

この人が緊張しているなんて……

心の中でクスッっと笑うと、

見透かされたのか目の前の彼の瞳が一瞬険しくなった。


この人は本当に人の心がわかるの?

そんなことを考えている間もなく、

彼はそのまま私を暗い部屋にグイと引き込み、引き戸をそっと閉めた。


指先が触れても以前のように、火花が散ることは……

もうなかった。

気が付いた事実に驚いていると強く引き寄せられた。


真っ暗でお互いの呼吸だけが静かに響く部屋。

しばらく彼は私のうなじに顔を埋め、

何度も鼻先を擦り付けながらただ私をかき抱き続けた。
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