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揺れる恋 めぐる愛
第9章 束縛と自由
いつの間にか……

本当にいつの間にか堕ちるように眠りについていたようで……

ふと意識が戻ってきて、目が覚めると、

狭いシングルのベッドの上に二人でいて、彼はただ私を抱きしめていた。


こんな親密な朝を迎えたことがないので、

誰かの温もりを素肌に感じて目が覚めることが……

嬉しくもあり、また気恥ずかしかった。


彼はまだ眠っている。規則的な吐息が私の髪を揺らし、

密着した躰がお互いの間に温もりを閉じ込める。

二人だけの世界に迷い込んでいるような錯覚に陥る。


顔を上げ、手を伸ばしてそっと彼の頬に触れようとすると顔を反らされた。

そしてこちらに向き直りながら愛おしい人の瞼が震えた。

目が覚めるのかもしれない……

私は慌ててあごを引き薄目になって寝たふりをした。


塞がれた視界で感じたのは彼の唇で……

生え際にそっと押し当てられたようだった。

それから抱き締めていた彼の片手が頭に伸びてきて、

ゆっくりと何度もていねいに髪を撫でつける。

優しい気持ちに満たされ、胸に暖かさがジワリと広がっていった。

思わず涙が込み上げてきて、グッとそれを呑み込んだ。


しばらくそうしていたが、おもむろに掌が離れ、

私を腕の中から解放してごそごそと温もりが離れていった……
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