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揺れる恋 めぐる愛
第9章 束縛と自由
「会食?それが今、何の関係があ……「顔見せだ。

いずれ、俺が結婚させられる女との……」」

「はああ?」

彼は苦痛に顔を歪めながら、絞り出すように紡いだ言葉に固まる。

思わぬことに声が上ずった。

「親父が選んだ女とその日会うことになっている。もうずいぶん昔に……

決められていた事だ。俺に拒否権はない」

「……」

私は悲しくなるより怒りすら感じた。


本気だという言葉の後にそんな話はあまりにもひどすぎる。

「結婚する女って……

じゃなんで、私を必要だなんて言うんですか?

それって愛人として?それともセフレ?」

「誰もそんなことは言ってないだろう?

すぐの話じゃないし、結婚と言っても、

あいつの場合純粋にビジネスだ。

だが今、お前の存在は知られたくない」

私は、吃驚してしばらく言葉が出なくなった。

「実は……

奴は……

うちの社長だ。

周りに俺たちの親子関係を知る者は

ほとんどいない。

とりあえずもうしばらくは……

このままでいて欲しい」

「お見合いするのに、このままでなんてどうして平然と言えるんですか?

そんなこと私が納得すると思ってるんですか?」

「お前が納得するわけがないのはわかっている。

わかってるんだが、もうしばらく……

とりあえずそうしてくれ」

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