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揺れる恋 めぐる愛
第9章 束縛と自由
泣くのは嫌いだ。女は泣いたら勝ちって……

思われるのは何よりイヤダ。


それでも昔は、どうしようもない自分の不遇さを呪いながら

ただ泣くしかなかった。

泣いても何の解決にもならないと知っているはずなのに……

それでも止まらない涙を一人の時にもう枯れたかと思うほど流したはずだ。

だからそれ以来泣くのを辞めた。辞めたはずなのに、

それでもこの頃、自分でもどうしようもないくらい涙もろい。

色々な変化に自分だけが置き去りにされてしまっている。

心がもう無理だと叫んでいるような気がする。


彼のそばにいるということはそう言う事なのだろうか?

これから私はどうなるのだろうか?

でも……

独りは寂しい。不安だし、怖い。


視界に使いかけの魚肉ソーセージが飛び込んできた。

あの毒々しい赤い色が昔からどうしても好きになれなかったが、

それでも独り暮らしには保存期間も長く手軽で使いやすいので、

うちには常備してある。


こうやって折に触れて、考えすぎるのは……

私の悪い癖。

考えて行きつく所はほとんどが悪い方で……

そちらにどうしても思考が傾く。


ソーセージに手を伸ばした。

剥かれて半分に切られてラップをかけられたソレが

掌の中で存在感を私に主張してくる。

これをとりあえず焼こうか……
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