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揺れる恋 めぐる愛
第9章 束縛と自由
「あと……
ドライヤーはテレビの下です」
「……」
そのままコンロの前に立ち、ありあわせのもので食事を作り始める。
耳だけはごそごそと動く彼の身動ぎに意識を集中していると、
しばらくして私の背後を人が通る気配がした……
自分と同じ石鹸とシャンプーの香りが鼻につく。
この男が素朴なせっけんの香りを纏うのがなんだかおかしくて
思わずクスッと声を漏らしてしまう。
「何だ?」
彼が背後で立ち止まり怪訝そうに私に問いかける。
「いえ、何も……」
「今、お前笑わなかったか?」
「いえ……
別に……」
「別に……
じゃないだろう?」
どうして今朝はこんなに絡んでくるんだろう?
「なぁ、お前と同じ匂いがするのがそんなにおかしいのか?」
唐突に右の耳元に囁きかけられ、ハッとして反射的に飛び上がると、
目の前でフライパンが踊り、中の油が跳ねた。
「あっ!!」
胸の下に力強い両腕を回されて、強引に後ろへ抱き寄せられた。
お互いの荒い息と、目の前で食べ物の焼ける音が響く……
「危ないだろうが……」
「もう!!」
振り向きざまに睨み付けようとすると、鼻先に唇を押し付けられた。
予期せぬ戯れに目が見開く……
そのまま包み込まれるようにゆっくりと背を押され前に進むと
胸の下の腕が解かれ、コンロのスイッチがカチッと音を立てた。
ドライヤーはテレビの下です」
「……」
そのままコンロの前に立ち、ありあわせのもので食事を作り始める。
耳だけはごそごそと動く彼の身動ぎに意識を集中していると、
しばらくして私の背後を人が通る気配がした……
自分と同じ石鹸とシャンプーの香りが鼻につく。
この男が素朴なせっけんの香りを纏うのがなんだかおかしくて
思わずクスッと声を漏らしてしまう。
「何だ?」
彼が背後で立ち止まり怪訝そうに私に問いかける。
「いえ、何も……」
「今、お前笑わなかったか?」
「いえ……
別に……」
「別に……
じゃないだろう?」
どうして今朝はこんなに絡んでくるんだろう?
「なぁ、お前と同じ匂いがするのがそんなにおかしいのか?」
唐突に右の耳元に囁きかけられ、ハッとして反射的に飛び上がると、
目の前でフライパンが踊り、中の油が跳ねた。
「あっ!!」
胸の下に力強い両腕を回されて、強引に後ろへ抱き寄せられた。
お互いの荒い息と、目の前で食べ物の焼ける音が響く……
「危ないだろうが……」
「もう!!」
振り向きざまに睨み付けようとすると、鼻先に唇を押し付けられた。
予期せぬ戯れに目が見開く……
そのまま包み込まれるようにゆっくりと背を押され前に進むと
胸の下の腕が解かれ、コンロのスイッチがカチッと音を立てた。