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揺れる恋 めぐる愛
第10章 懐疑と盲信
マナーモードにしたままだったことを思い出し、携帯を手にとった。

しかし…

それは期待した人からではなかった。

『私はいつでも大丈夫です。

例えば土曜日か日曜日にランチを一緒にとかはどうですか?』

そっか。美咲は、すぐにでも会いたいと思っているんだ。

この前の花火で、私自身少し元気になれた。

私にできることがあるのなら…

『今週土曜日、友達と出かけます。』

返信がなかったので、初めてこちらから自分の予定をメールしてみる。

程なくしてメールが来て

『了解。』

さっきのには音沙汰すらなかったのに唐突に彼から返事がきた。


出かけない時の私と彼は、家で彼が借りてきたDVDを見たり、

彼が本を読んでいるときは、私も本や雑誌を読んだし、

仕事をするためにパソコンを持ってくることもあった。

一緒に時間を過ごして、一緒に食事をして、一緒に眠った。

彼は泊まる度、丁寧に包むように私を抱いた。

人肌はとにかく温かかった。

安定しない関係だけど…

でも幸せな温かさだった。

それはお互いに気を使うことのない心地いい…

そして私にとっては時々ドキドキする時間だった。

もうこれで多分土曜日は来ないだろう。


何となくほっとした気持ちと寂しい気持ちを抱えながら

私は美咲にメールをした。

『土曜日、ランチはどこかお勧めはありますか?』
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