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揺れる恋 めぐる愛
第10章 懐疑と盲信
空は高く、日差しが眩しい秋の昼下がり。
それなのに約束の時間よりちょっと前に現れた目の前の美咲は
どことなく暗い。
誘われた方なのに前のめりで早くついて、なんとなく居心地が悪かった。
「ひさしぶり…」
「うん…」
彼女も向かいの席に着き、俯く。
注文を聞きに来たので日替わりを頼むと、美咲も俯いたまま
「同じものを」
と言った。
私は何を話していいのかわからないこの空気に、
目の前の水を一口飲んだ。店内に流れるBGMだけが耳に突き刺さる。
「実はね…」
意を決したのか美咲は顔を上げ私に話し始めた。
「別れたの。別れたっていうか…
突然いなくなってしまって…」
「えっ?」
私は驚いて思わずその言葉しか出なかった。
「気が付いたら…
一緒に住んでいた家からいなくなってたの」
「はあ?」
美咲が何を言いたいのかさっぱりわからなかった。
私の反応に彼女がまた俯いてしまう。
「ごめん。美咲の言っている意味が分からなくって…
私に話そうと思ったんだから…
ゆっくりでいいからわかるように話して」
私はできるだけ優しく聞こえるように声をかけた。
「うん」
それから美咲はぽつぽつと話し始めた。
「花火の前の日。
ののかに気を使わせたくないから一人で行くって言ったら、
けんかになったの。
…それから帰ってこなくなった」
それなのに約束の時間よりちょっと前に現れた目の前の美咲は
どことなく暗い。
誘われた方なのに前のめりで早くついて、なんとなく居心地が悪かった。
「ひさしぶり…」
「うん…」
彼女も向かいの席に着き、俯く。
注文を聞きに来たので日替わりを頼むと、美咲も俯いたまま
「同じものを」
と言った。
私は何を話していいのかわからないこの空気に、
目の前の水を一口飲んだ。店内に流れるBGMだけが耳に突き刺さる。
「実はね…」
意を決したのか美咲は顔を上げ私に話し始めた。
「別れたの。別れたっていうか…
突然いなくなってしまって…」
「えっ?」
私は驚いて思わずその言葉しか出なかった。
「気が付いたら…
一緒に住んでいた家からいなくなってたの」
「はあ?」
美咲が何を言いたいのかさっぱりわからなかった。
私の反応に彼女がまた俯いてしまう。
「ごめん。美咲の言っている意味が分からなくって…
私に話そうと思ったんだから…
ゆっくりでいいからわかるように話して」
私はできるだけ優しく聞こえるように声をかけた。
「うん」
それから美咲はぽつぽつと話し始めた。
「花火の前の日。
ののかに気を使わせたくないから一人で行くって言ったら、
けんかになったの。
…それから帰ってこなくなった」