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揺れる恋 めぐる愛
第10章 懐疑と盲信
「あのね、みさ…「ののか。本当に今日は、ありがとうね」」

美咲は私の言葉なんて何もなかったかのように、

DVDに視線を向けたまま、つぶやいた。

「…うん」

私は出鼻をみごとにくじかれ、仕方がなく同じようにDVDに視線を移す。

「実は、私ね。突然こんな話をする気になったのは…

時間がクスリになったのか色々気持ちの整理もできてきたし、

それになによりやっと引っ越しもできることになったからなの」


「ちゃんと吹っ切ってね…

それで好きな人に告白しようかと思ってね」

思わぬ言葉に私は美咲を見た。

さっきまでの暗い雰囲気はなく、口元に少しの笑みが浮かんでいた。

その表情を盗むようにチラチラと見ながら、

もう彼女の中では終わったことなんだなと思った。


そう…

時は流れ、人は変わる。

私も変わった…

「ところでののかは、この頃どんな感じなの?」

唐突に私に話題が移る。突然バクバクし始めた心臓の鼓動。

動揺をなんとか押し隠しながら考えを巡らせる。


彼が最初に言った「表には出せない関係…」

それなのに現実は、表に出ないわけではなかった。

誰にも見られていない保証はないはずだけど…

それでも彼は気にしている素振りはない。


「ねえ、誰かいるんじゃないの?」
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