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揺れる恋 めぐる愛
第10章 懐疑と盲信
その言葉は私の物思いを破るのには充分だった。

いったいなんて言ったらいいんだろう?そう思っていると…

「ののかも…

好きな人」

一気に切り込まれ、気持ちが落ちた。

やっぱり見透かされている。

それなら、たぶんとっさの嘘は通用しないかもしれない。

しばらく無言になる。


「…うん」

返事で言葉を区切る。それでも私は思い切って続けた。

「…気になる人はいるよ」

「やっぱり…

やっぱりそうよね?前の遠恋はずいぶん昔に終わったんだし…

だから私に言えたんでしょ?」

ぱっと明るい表情の美咲に対して、私はただ頷いた。


私は彼女のように、吹っ切ったとは言い難い。

日常生活の中でも、彼と会っているときも

表面上はもうそんなこと思い出すこともほとんどなかったけど、

何かきっかけがあるたびに奥底に沈んでいた黒いモノが

ふつふつと沸き上がり、今の私の感情を邪魔する。

そんないつまでもぐずぐずじめじめな自分に辟易する。


それに彼との関係は、いつまでこんな状態が続くのだろうか…

その事実も私を不安にしている一因だった。

私はこれ以上は話を続けたくなくて、詮索してこない美咲に合わせて

TVに視線を戻し、さっきまで自分の言いたかったはずのことを

グッと飲み込んだ。
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