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揺れる恋 めぐる愛
第10章 懐疑と盲信
翌日日曜の早朝、メールの着信音で目が覚めた。

携帯を引き寄せると6時前。

こんな時間?と思いつつ見ると…

彼だった。

[今から行く。]

思わずえっ?と飛び起きた。

いつも突然だが、ここまで早朝に来たことはなかったような気がする…

急いでとりあえず顔を洗って、あたふたしていると唐突に呼び鈴が鳴った。


「もう、なんで……」

私はそう文句を言いながらも玄関を開けて彼を中に招き入れる。

ドアが閉まった瞬間、視界が塞がれて…

強く抱きしめられた。

私は、その様子に面喰ってびっくりするものの、

どうせ抵抗しても無駄なので、背中に腕を回しそっと彼を抱きしめ返した。


「……どうして勝手に予定なんて入れるんだ……」

それからしばらくして彼が発した低くか弱い言葉に私はまた驚いた。

「えっ?勝手にじゃないでしょ?メールしたよね?」

「……」

返事のないまま再び力を込めてぎゅっと抱きしめられた。

「……まあ、連絡はきた。

でも俺はいいとは言ってないだろう?

それなのに好きにしやがって……」

この勝手さは何なんだろう……

そう思いながら、それでも拗ねたような言葉を聞くと

ほんの少し嬉しい気持ちになった。

「だって、メールで了解って言ったじゃない」

確かに……

今考えるとあの時の反応は冷たかったかもしれない。

「あの段階でダメって言っていうことを聞いたか?」

「……多分聞かないわね」

「だろう?だからわかったと言っただけで、俺はいいとは言ってない」

本当にこの人は……

なんでいつもこんな感じなのだろう。

少し呆れながらも私は思い切って顔を上げながら

「……素直に言ったら?」

と彼に投げかけてみた。

彼は一瞬目を見開き、身体をビクッと震わせたが、

「何を?」

と高圧的にこちらをみつめる。それから抱擁をゆるめ、

私の顎に指をあてがいグイと自分の方に無理矢理向けた。
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