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揺れる恋 めぐる愛
第10章 懐疑と盲信
自分勝手と誤解されるような言動しかしないと思っていた。

核心の部分はよくわからずに……

でも彼は、本当はそうではない気がする。

ちょっとわがままなだけで、独占欲が強い。

その独占欲がうっとおしくないと言えばうそかもしれない。

でも、一緒に仕事をした時の、丁寧で優しい対応だった

彼を知っている私にとって、

こんな彼は外の仮面を脱いだ本来の姿で、

私に甘えているだけなのではないだろうか?

全てを受け入られるわけではないけれど……

それでもそんな彼が私は好きだった。

だからそれをそのまま……

ありのままの気持ちを伝えたかった。

私が差し入れた舌に、応えるように舌が絡め取られる。


首に腕を回し、彼を捕える。

激しい感情がそのままぶつけられるように、

私が始めた事なのに……

いつしか彼のペースに飲み込まれる。


お互いの唇が細い糸を引きながら離れた時、荒い息だけが部屋に響く。

「いいの。あなたはそのままでいい。ただし……

私の前だけだからね」

私はそれから優しく霞めるように唇で彼の唇に触れた。

「……のか。お前は……」

彼が静かにもう一度私を抱きしめてくれた。


私達に……

その朝、本当の意味で絆ができたと思えた。
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