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揺れる恋 めぐる愛
第12章 普通と特別
民家がぽつぽつと現れて始めて、急な登り坂のふもとでウインカーを出して
久々に来た対向車をやり過ごす。
右の坂道の上に視線を向けると少し高いところに生垣が見えた。
時計に目をやると、さっきから30分が過ぎている。
信号もそんなにたくさんなかったからたぶんこのあたりなんだろうか?
その坂道を折り返すように登りながら右折した。
少し上がり生垣の途切れた所から車を中へ入れると正面に小さな家が見える。
大希さんがゆっくりバックして車を駐車しているときに
私は無意識で唇をかみしめた。
車のエンジンを切って彼がこちらを見る。
「……大丈夫だ」
低い穏やかな声で私をなだめる。
「何が?」
「取って食われるわけじゃない」
「そんなのわからないじゃない?」
彼の身体が唐突に近づいてくるからびっくりしてのけぞると、
遅れた左耳にチュッと触れるキスをされた。
「お前を美味しくして食うのは俺だけだ。今じゃないがな……」
真っ赤になって固まる私に向かってクククと嗤う。
「誰かに見られたら……
どうするのよ?」
落ち着かなくてびっくりしすぎて
きょろきょろしながら大声で喚き散らしたのに、
「別にみられても問題はないが……
今日は休みだからたぶん、出迎えはないし」
振り向きざまの隙に、今度はおでこに口づけられた。
「だから……」
恥ずかしすぎて俯く。
久々に来た対向車をやり過ごす。
右の坂道の上に視線を向けると少し高いところに生垣が見えた。
時計に目をやると、さっきから30分が過ぎている。
信号もそんなにたくさんなかったからたぶんこのあたりなんだろうか?
その坂道を折り返すように登りながら右折した。
少し上がり生垣の途切れた所から車を中へ入れると正面に小さな家が見える。
大希さんがゆっくりバックして車を駐車しているときに
私は無意識で唇をかみしめた。
車のエンジンを切って彼がこちらを見る。
「……大丈夫だ」
低い穏やかな声で私をなだめる。
「何が?」
「取って食われるわけじゃない」
「そんなのわからないじゃない?」
彼の身体が唐突に近づいてくるからびっくりしてのけぞると、
遅れた左耳にチュッと触れるキスをされた。
「お前を美味しくして食うのは俺だけだ。今じゃないがな……」
真っ赤になって固まる私に向かってクククと嗤う。
「誰かに見られたら……
どうするのよ?」
落ち着かなくてびっくりしすぎて
きょろきょろしながら大声で喚き散らしたのに、
「別にみられても問題はないが……
今日は休みだからたぶん、出迎えはないし」
振り向きざまの隙に、今度はおでこに口づけられた。
「だから……」
恥ずかしすぎて俯く。