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揺れる恋 めぐる愛
第14章 曖昧と明確
「ちょっと……
食べてみるか?」
大希さんがパソコンを置いたデスクの上から
何かをつまんで私の口元の前に差し出す。
一口サイズの黒いソレを
私は考えなしにぱくりと指ごと口に含む。
指についたものまで舐めとるように転がすと
濃厚な苦い味が口いっぱいに広がって……
私は目を閉じて眉根を寄せた。
ゆっくりと口腔から大希さんの指が抜けていく。
そのまま舌で突きながら転がしてから、
歯で咀嚼しながらもう少し舌で味わうと、
甘みが追いかけてきた。
まるで私の人生みたい……
苦味ばかりの中のほのかな甘み。
自分の気持ちが曖昧で優柔不断だから、
何かを見せられるたびに揺さぶられ、
胸を締め付けるような暗い海に落ちて
苦して苦しくて仕方がなくなるのだろう……
そんなことを考えていたからか、
意味もなく涙がひとしずく零れた。
黙って苦味を甘受するのはもう……
嫌だ。
「……さすがにお上手なんでしょうね」
「ああ、あの人の一番の自信作だ。
子どもの誕生日に毎回これなんてどうなんだと思っていたが、
しばらく我慢していたら、
俺がこれを美味く感じることのできる
大人の男になったんだがな」
食べてみるか?」
大希さんがパソコンを置いたデスクの上から
何かをつまんで私の口元の前に差し出す。
一口サイズの黒いソレを
私は考えなしにぱくりと指ごと口に含む。
指についたものまで舐めとるように転がすと
濃厚な苦い味が口いっぱいに広がって……
私は目を閉じて眉根を寄せた。
ゆっくりと口腔から大希さんの指が抜けていく。
そのまま舌で突きながら転がしてから、
歯で咀嚼しながらもう少し舌で味わうと、
甘みが追いかけてきた。
まるで私の人生みたい……
苦味ばかりの中のほのかな甘み。
自分の気持ちが曖昧で優柔不断だから、
何かを見せられるたびに揺さぶられ、
胸を締め付けるような暗い海に落ちて
苦して苦しくて仕方がなくなるのだろう……
そんなことを考えていたからか、
意味もなく涙がひとしずく零れた。
黙って苦味を甘受するのはもう……
嫌だ。
「……さすがにお上手なんでしょうね」
「ああ、あの人の一番の自信作だ。
子どもの誕生日に毎回これなんてどうなんだと思っていたが、
しばらく我慢していたら、
俺がこれを美味く感じることのできる
大人の男になったんだがな」