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揺れる恋 めぐる愛
第15章 悪運と悪運
「大希さん……」

私は沈黙を破り、その人の名を呼んだ。

「ののか……

大丈夫か?」

「おれは……

ま・に・あった・の・か??」

前を向き運転しながら、とぎれとぎれでも

たどたどしく言葉を紡ぐ。

「……はい」

怖かったけど、でも何かあったわけじゃない。

なぜあそこにいたのかわからないけど、

とりあえず安心させたかった。

目の前の信号が赤になり車が止まる。

パーキングブレーキを素早く踏み込んでから

大希さんが抱きしめてきた。

「本当に?大丈夫……

なのか?」

切なく絞り出すような声色。

苦しいくらい強く抱擁された胸の中で静かにうなずいた。

「そうか……

そうか、よかった」

胸いっぱいに、慣れた安心できる香りを吸い込む。


ビーーーー

お互いの身体が後ろの車の警笛に驚いて同時にビクつき、

慌てて抱擁を解き車を発進させた。

そのまましばらく車は走り続ける。

運転する横顔を見つめながら、右手を伸ばして

シフトレバーに置かれた左手の上に重ねる。

指を絡めると、親指で小指をゆっくりと

何度も繰り返し撫でられた。

この人とは、暗闇も沈黙も怖くない。

重ねたままの手が宙を舞い、引き寄せられて

顔は前を向いたまま手の甲に唇が押し付けられる。
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