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揺れる恋 めぐる愛
第2章 日常と非日常
最後に打ち上げ花火が派手に何十発も上がって……
静かになる。
この華やかさとその後のもの悲しさが
夏の終わりを表しているようだった。
花火が終った。
イベントが終れば見物客みんなが考えることは同じで、
帰り道は人でごった返し、すごい人波に呑まれそうになった。
視線の少し前には……
岡田さんが大事そうに美咲を抱えて歩いている。
つきあってまだ間がないんだからと思ってみても……
切ない気持ちになる。
守ってほしいと思う人は、今ここにはいない……
改めて独りだということを思い知る。
あれ以来先輩とはもちろん会っていないし、メールすら交わしていない。
遠距離恋愛の厳しさが身に染みる。
宮原さんと山路さんは、行きと同じように私の両隣にいた。
時間ばかりが過ぎても、なかなか前に進まない。
そんな人込みに揉まれる中、突然私の手に誰かの指先が触れた。
最初は当たっただけだろうと思っていたが、
ゆっくりと手首に向けて指が伸びてくる。
それに気が付き、驚いて触れた手の方を見てから視線を上げた。
山路さんと目があった。
どういうつもりなのだろう?
困惑気味の私に向かって、山路さんは無邪気な微笑みを浮かべながら、
しっかりと私の右手を握った。
「危ないよ。巻き込まれる……」
そう言って自分の方に引き寄せようとした。
静かになる。
この華やかさとその後のもの悲しさが
夏の終わりを表しているようだった。
花火が終った。
イベントが終れば見物客みんなが考えることは同じで、
帰り道は人でごった返し、すごい人波に呑まれそうになった。
視線の少し前には……
岡田さんが大事そうに美咲を抱えて歩いている。
つきあってまだ間がないんだからと思ってみても……
切ない気持ちになる。
守ってほしいと思う人は、今ここにはいない……
改めて独りだということを思い知る。
あれ以来先輩とはもちろん会っていないし、メールすら交わしていない。
遠距離恋愛の厳しさが身に染みる。
宮原さんと山路さんは、行きと同じように私の両隣にいた。
時間ばかりが過ぎても、なかなか前に進まない。
そんな人込みに揉まれる中、突然私の手に誰かの指先が触れた。
最初は当たっただけだろうと思っていたが、
ゆっくりと手首に向けて指が伸びてくる。
それに気が付き、驚いて触れた手の方を見てから視線を上げた。
山路さんと目があった。
どういうつもりなのだろう?
困惑気味の私に向かって、山路さんは無邪気な微笑みを浮かべながら、
しっかりと私の右手を握った。
「危ないよ。巻き込まれる……」
そう言って自分の方に引き寄せようとした。