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揺れる恋 めぐる愛
第2章 日常と非日常
その時、もう一方の手に誰かが指を絡ませた。

これだけの人混みなら仕方がないのだろうが、でもこれは明らかに……

山路さんの事だけでもいっぱいいっぱいの思考にキャパオーバーの事態。

何が起きているのかわからず焦る。

それなのに身体は静かにそちらへ引かれた。


私が重心を変えるのに気付いて、山路さんと私はそちらに視線を向ける……

宮原さんは何も言わず、ただ手を引きながら静かに微笑んでいた。


この人は穏やかに微笑みながら、突然切り込んできて想定外の行動をする。

その微笑みが……

怖かった。


そして目の前で、山路さんと宮原さんの険しい視線が絡み合う。

私は、心もとなくなって二人を交互に盗み見た。

どちらの想いにも応えることはできないんだから……

これ以上関わってはいけない。

あの時のようにこれ以上隙を見せてはいけない。

私は意を決して両手をゆっくりと引き、抜こうとした。


その躰の動きを二人が気が付いて、宮原さんが先に指を緩め……

山路さんが私の手を解放する。

それぞれの想いは口にせずともそれぞれに伝わるような気がした。

とても気まずかった。


その後私達3人は、つかず離れずの微妙な距離で、

話すこともなく静かに黙々と真っ直ぐに駅を目指した。
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