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揺れる恋 めぐる愛
第4章 愛しさと切なさ
「主任は、たまにでも料理をよくするんですか?」

「いや……

ほとんどしない。ましてや女に何かを作ってやったのは……

初めてだ。

できないふりをした方が色々と都合もいいし……

何より楽だしな。

それなのに、紅葉と聞いてお前が浮かんで、弁当なんてさ。

自分でもな……」

主任の目は、茶化す様に私を見つめていた。

でも、その言葉にどうこたえていいのかわからなかった。

「盛り付けもきれいですね。ご飯も型にはめてあるし」

私は料理の話をして、ごまかすことにした。


私達は食事を終え、少し休憩をした。

13時を知らせる時報が鳴ると、主任は片づけはじめる。

そして広場の横を通り、奥に見える道に向かって歩く。

そこは落ち葉舞い散る散策道のある森だった……

私も主任の少し後ろを歩き、紅葉狩りを楽しんだ。


あたり一面が燃えるような秋の紅葉。本当に綺麗で……

時々立ち止まって二人でその景色に見とれて、呑まれた。

歩くたびにかさかさと奏でられる葉の音。

空気が清々しくおいしい。

この頃こんな青空の元、自然の中にいる時間はほとんどなくて……

暖かく懐かしい気持ちが私の心を満たす。
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