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揺れる恋 めぐる愛
第4章 愛しさと切なさ
「もういいです。でもその時学習した。やっぱり無理だって……」
「いや、無理かはやらないとわからない。
お前は失敗が怖かっただけ。今でもそうだろう?」
「どういう意味ですか?」
「一度失敗したらもうやらない。臆病者だ……」
「そんなことはないです。人間誰だって何度も失敗して傷つきたくない。
慎重になって当然じゃないですか?」
「石橋は叩きまくったら崩れるぞ。
時には駆け出してみることも必要なときがある。
でもお前は全部逃げ腰だ。たまには飛び込んでみろ」
「……主任は何が言いたいんですか?」
怪訝そうな顔をする私にすっと視線を向け、
主任は足元にある落ち葉を拾い、それを握りつぶした。
手を開くと粉々になった葉が風に流され手から零れ落ちる。
「昔、俺は踏み込む前にほんの一瞬躊躇しただけで
目前が崩れて全て終わった。だからもう迷わない……
欲しいものは全力で足元が崩れようと踏み込んで手に入れる」
その決然とした言葉はすっと心に入り込む。
主任の手に入れたかったものはいったい何なのだろうか?
そんなことを考えていたら、身体にあの違和感を感じた。
主任は私の手を力強く握り、黒い瞳で射すくめる。
「もう踏み込んでる。
その気がないなら……
逃げろ」
しばらくその手を離すこともできず、
私はただ主任の目眼差しに囚われるしかなかった。
「いや、無理かはやらないとわからない。
お前は失敗が怖かっただけ。今でもそうだろう?」
「どういう意味ですか?」
「一度失敗したらもうやらない。臆病者だ……」
「そんなことはないです。人間誰だって何度も失敗して傷つきたくない。
慎重になって当然じゃないですか?」
「石橋は叩きまくったら崩れるぞ。
時には駆け出してみることも必要なときがある。
でもお前は全部逃げ腰だ。たまには飛び込んでみろ」
「……主任は何が言いたいんですか?」
怪訝そうな顔をする私にすっと視線を向け、
主任は足元にある落ち葉を拾い、それを握りつぶした。
手を開くと粉々になった葉が風に流され手から零れ落ちる。
「昔、俺は踏み込む前にほんの一瞬躊躇しただけで
目前が崩れて全て終わった。だからもう迷わない……
欲しいものは全力で足元が崩れようと踏み込んで手に入れる」
その決然とした言葉はすっと心に入り込む。
主任の手に入れたかったものはいったい何なのだろうか?
そんなことを考えていたら、身体にあの違和感を感じた。
主任は私の手を力強く握り、黒い瞳で射すくめる。
「もう踏み込んでる。
その気がないなら……
逃げろ」
しばらくその手を離すこともできず、
私はただ主任の目眼差しに囚われるしかなかった。