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揺れる恋 めぐる愛
第4章 愛しさと切なさ
家の前で車が止まる。

ドアを開け車から降りると、主任も降りようとする姿が見えた。

「今日はありがとうございました。そして、ご馳走様でした……」

「ああ……」

「もう、ここでいいです」

私は断固として言った。これ以上主任に踏み込んでほしくなかった……

それなのに主任はドアを閉め車外に立って、

「いや、せめてお前が部屋に入るまでここで……」

「……」

その気持ちが重かった。

でもドアを閉めた主任も譲るつもりはないだろう……

「はい。わかりました」

とにかく今は早く帰ろう……

「じゃ、また……」

「では……」

その場で頭を下げて、家に戻っていった……


会社では誠実で優しかったが……

あの夜以降、二人で会うときは自分勝手で強引な男。


でも、そうではない部分もあるような気がして……

身勝手なのに優しく、強引なのに脆い。

その絶妙なバランスの雰囲気に惹きつけられ……


どうして今日はそのまま送ってくれたのか?

見送ってくれるなんて大切にしてくれているのだろうか?

迷惑な横やりなはずなのに、勘違いするほど

物事を理性的に考えられなくなっている自分が怖い。


私の奥にある何かを揺さぶられるのが怖い。

最後に……

引き裂かれるのがもっと怖い。


突然現れる主任をどうしたらいいのか戸惑って……

優柔不断から結局受け入れている自分の愚かさを呪いたかった。
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