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理性が溶ける時
第1章 理性を湯煎する
とまらない興奮と、とまらない指。その結果はすぐ簡単に出た。
「いっ……ピチャピチャ……はあっくっ……ああっ、ああっいくっ」

絶頂である。

「いっくっ……っっっっ……」
腰が大きく跳ね上がり、しばらくその高く上がったまま固定され、体が小さな痙攣をする。
指を噛まれてはたまらないので、その瞬間に相手の口から自分の指を抜きさる。それと同時に、声が溢れ出るのを我慢する為か何回か歯ががちがちと震えた。

やがてそれが収まると共に、腰はおろされる。
同時に、ゆっくりと力尽きたように体がベッドに横たわる。
恥部はヒクヒクと振るえ、絶頂に伴いぬき去られてしまった指を名残おしそうに、開いた穴から液をたらす。

「……命令されて、見られてするのは、案外気持ちいいだろ?」
息も荒く、言葉も話せない、絶頂のあとの倦怠感に包まれている相手にそう語りかけると、横たわったまま、少しだけ頷く。
それを見て少しだけ微笑むと、俺も体勢をベッドに横たわるようにして、相手と顔を近づける。

そして、唇を重ねる。

唇の熱さが体温の高まりを教えてくれ、唇の厚さが口づけをしていることを感覚としてしっかりと伝えた。
ただ、重ね合わせるだけのもの。
舌なんて入れない、ただの行為。
それだけのもの。

それだけであるのに、何故か満たされたように相手は微笑んだ。
「……もっと、しりたいか?こういう快楽を」

「……はい。お願いします……」
恥ずかしげに、相手はそういった。
相手の高ぶった体の中で理性が解け始めているのを、俺はその言葉で確信した。
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