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喪われた記憶
第10章 引っ越しの前に
いきなりハードル上がったーーー!
「む…無理です…」
『…何でだよ?』
「それは…その」
恥ずかしいから…って言うのも恥ずかしいわ!
『…呼んでくれないんだったらこっちにも手があるんだけど?』
「……!?」
『…聞きたい?』
彼の後ろに悪魔のシッポがちらついた気がした…
「……う~」
『ほらほら早く』
「あ…おせさん……」
そう言うとちょっとムスッとなった彼。
『…名前って言わなかったっけ。』
「………っ」
『呼んでよ…月琴ちゃん』
「………。」
もうこうなったら言うしかないのか…
「しぉ…んさん」
『…何?聞こえない。』
嘘つきっ!
はぁ…もう一息。
「…紫苑さん」
『…さん、はいらない。』
―――ブチッ
私の中の何かが弾けた。
「あーもう!わかりましたよっ!
何回だって呼んでやりますよ!
紫苑紫苑紫苑紫苑紫苑…っ!
ほら!満足しました!?」