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喪われた記憶
第11章 清白家

『確かに…最初同棲を提案したのは僕の方でした。』
その言葉に空気が凍りつく。
『…でもその後、月琴さんも僕の気持ちを分かってくれて、受け入れてくれました。
だから決して強制では無いです。
僕らの意思です。』
『…………………………………そうか。』
確かに私の意思でもあるけど。
強制…的な部分がないことはないよね?
ちらっと紫苑を盗み見ると、
とても真剣な顔で叔父さん達を見据えていた。
『…二人はいつから知り合いだったのかしら』
『…6年前です。』
そこで初めて口を開いた叔母さんに、淡々と答える紫苑。
その答えに二人は顔を見合わせた。
その顔はどこか曇っている。
『月琴…ちょっと彼氏さんと私達3人で話してもいいかしらね?』
「う…うん。」
その声が弱々しかったのか、
叔母さんが微笑んで
『何不安そうな顔してるの~!
別に追い出したりする訳じゃないんだから!
ちょっとお話するだけよ。
安心なさい!
クソ爺が怖い顔してるだけよ~っ』
『…悪かったな、クソ爺で。』
『ふふっ……じゃあ、彼のこと、借りてくわね。
今日はもう泊まっていきなさい。
遅くなるだろうから。
夏恋、よろしく頼むわよ~』
『ん…分かったよ。
行こ?りーちゃん♪』
「…うん、そうだね。」
残る不安を押し込めて…
私は部屋を出て行った。

