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喪われた記憶
第16章 忍び寄る影
そう言われてみれば、
髪からも体からもいい香りがする。
「………………寝ます。」
『よしよし、おやすみ。』
「………紫苑は寝ないの?」
声が震えたかもしれない。
今は少しでも長くそばにいてほしい。
だって……またあれが夢に出てきたら。
『……一緒に寝ていいわけ?
寝るだけじゃ終わんねーかもよ。』
それならそれでいい。
逆によく寝られるかもしれない。
「…それでもいいから。
今は…近くにいてほしいの。」
『………!』
私はそれだけ言うと、素早くタオルケットに潜り込む。