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喪われた記憶
第27章 蘇った記憶
『冗談だって』
そう笑いながら
私の髪を梳く。
それが心地よくて
彼の胸に顔を擦り寄せる。
「紫苑……あのね」
『ん?』
「1個だけ……引っ掛かる」
『…何が?』
彼の肩を押して
目線を合わせる。
「私たちが初めて会ったのは……どこだった?」
『中学校の……委員会で…だと思うけど』
「…………」
『違う……か?…』
「紫苑はそうかもだけど……私は……」
『…………』
「………ま、気のせいかな?」
そう言ってみたけど
反応がなくて
「………紫苑?」
『…あっ、いや。
大丈夫。ゆっくりでいいからな』
「………ん」