この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
談戯奇談
第1章 道あんない

はて、これまた奇妙なことだ。たしかお手伝いの絹代さんが用意してくれた昼食の握り飯を食べて直ぐのはず……。

大きな屋根の寺の背に広がる、赤々とした夕暮れを私は眺める。

しかし屋根は立派だが、それを支える柱や壁は朽ちて所々が虫に食われたのか穴が開いていた。

「こりゃ!」

「痛っ……」

寺を見上げていた後頭部にいきなり痛みが走った。振り返れば黒い着物に袈裟を掛けた爺さんが、竹のほうきの柄をこちらに向けて、二発目を打ち込もうと身構えている。

「何をいきなり…っ……」

「それはこっちの台詞じゃ! おぬしの足元をよく見るがいい!」

「足元?……っ…」

確めるなり私は飛び退いた。

裸足で立っていたその真下。枯れ葉の山からは燻る煙が立ち上る。

「早うどかんか!」

「痛っ……」

二発目が今度は私の額を直撃した。

コブが出来そうな一歩手前の痛み。それを堪え、額を庇いながら私は礼を言う。

「火傷を負うところでした。教えて頂き有り難うございます」

私は確かに丁寧に頭を下げたのだが……。僧侶は先程私が立っていた枯れ葉の山を竹ぼうきで慌てて払っていた。

散らかる枯れ葉の下から黒い煤の塊が覗いている。

「なんとまあ…っ……まるで草履のようではないか……」

涙声になって僧侶が手にしたそれは、おそらく私が枯れ葉の上から踏み潰してしまったのであろう、平らに伸びた焼き芋だ。
/4ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ