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藍の果て
第1章 死の惑星

2209年 地球 近代都市・ミレ


水の惑星と呼ばれている地球は、先進国と発展途上の国の貧富差を除いては
目覚ましい科学の発達に成功していた。




先進国である大都市・ミレも科学の力を借りて現在の金と地位を築いた都市の一つ。
そんな近代文化に栄えた土地の、今最も注目されている話題は
〝宇宙航空機の一般運行化”だった。






数百年前には選ばれた人間のみでしか宇宙を知る事が出来なかったが
この度、この宇宙旅行計画を打ち出し、ついに一般化されたのだ。
選ばれた人物でなく、大富豪でもなく、手の届く旅行となった宇宙という広い環境に人々は喜んだ。



今回は一般家庭から抽選で選ばれた人々が、初の旅行を楽しむことになった。


--シャーロン家。





「ねえ、パパッ!ロビンは連れて行ってもいいの?」


「ははっ。さすがに無理だよ、リオ。叔母さんが預かってくれるから
 ロビンは今回はお留守番だ」



大きな犬を抱いた少女に、父親が優しく諭(さと)す。
白銀の珍しい髪を揺らし、淡いブルーの瞳は少し残念そうに目を伏せる。
犬の毛を優しくなでながら慣れた様子で抱きしめた。



「やっぱりダメなのね。ごめんなさい、ロビン。直ぐに帰って来るから待っててね?」


ワンッ!少女の言葉に嬉しそうに尻尾を振りながら一声。



「ほら、リオ。準備が出来たら早く寝なさい。明日は早いのよ」


「はーい。おやすみなさい。パパ、ママ」



ベッドルームに駆けていくリオを両親は微笑ましげに見送った。



「あなた、良かったの?宇宙旅行なんて、もっと後でも良かったのに」



「良いんだ。リオだって、あんなに喜んでる。明日はリオの九つの誕生日だからな。
  たまには、家族サービスしたって罰は当たらないだろう」


「そうね。リオももう九歳なんて、大きくなったわ」



「そうだな。これから、もっともっと成長して……家族旅行なんて出来なくなるかもしれないし」


「ふふっ。気が早いわね。まだ、パパと旅行くらい行ってくれるわよ」



「それもそうか」




宇宙旅行前日、とある家族は暖かい談笑と共に眠りについたのだった。
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