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藍の果て
第1章 死の惑星
天井からは何本もの管が落ちてきて、酸素マスクが補給されていた。
しかし、大半の人間は気を失っているのだろう。
母親が意識を失いそうなリオの為に、這わせるように身体を移動させてそのマスクの一つを取る。
「リオッ!リオッ、これを付けてっ。良い?!大きく息を吸うの!吸って、早くっ!!リオッ!!!」
遥か遠くの方で聞こえてくる母の言葉に応えようようと、リオは重い体を動かしながら肺に精一杯空気を送り込む。
上手く喋ることはできない。ただ、最後まで母親の〝大丈夫”という声だけは、全身に染み渡るように響いていた。
そう。窓からは途方もない茶色の塊が航空機に近づいていた。
包み込むなんて可愛い表現ではない。
呑み込む、喰らい尽くす様に塊は航空機を吸い込んでいく。
一筋の閃光が闇の中に映えた。
それは……。
2209年 初の宇宙航空機追突の瞬間だった。