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藍の果て
第6章 契約の妻
2209年 パルバナ
新居のレンガ造りの家に、畑を作ろうと言ったのも夫だった。
ユリアも料理は得意だったので、バリエーションも増えるからと喜んだ。
結婚して二年も経っているが、市場に近い家から越してきてからは、ゆっくりとした生活リズムが流れる。
「ユリア。ユリア、起きて……朝だよ」
囁くような甘い声が吐息が、髪の毛に耳にかかって、擽ったそうに身動ぎする。
彼の腕の温もりの中で目覚めるのも、また日課となっていた。
悪戯のつもりだろうか、腕を回したまま耳朶にキスを落とす。
「んっ……、もう、くすぐったいわ」
咎める、なんて言葉よりも遥かに甘さを含ませた声。
早朝の日差しの中で布団に包まれた二人は、その体温を離すことをどちらとも躊躇う。
「もう少し、こうしてようか。今日は、僕も休みだし」
布団に再び潜り込むと不自然な膨らみを持ち、モゾモゾと動く。
首筋、鎖骨、少しずつ唇が移行しながら、ユリアの反応を確かめる様な優しい手つきで、柔らかな感触を掌に馴染ませる。
「んっ……あぁっ……だめ、よっ……」
彼の髪を撫でると悪戯を企む子供の様に笑みを浮かべて、ユリアの顔の表情を覗き込もうと上目に見つめる。
彼は、よくこうして甘えてくるのが好きだ。休みの日は、殆ど決まって早朝から愛し合うスキンシップは彼の嗜好でもあった。
既に主張する様に天井を向いている小さな突起に、指が絡むと痺れるような疼きが背筋を駆けのぼっていく。
「はぁ……あっ、んぅ……」
「少し撫でただけで、勃ってるよ。……そんなに、感じる?」
恥ずかしい言葉を囁きかけられると、拗ねたい半面、体の芯が火照る気がして、ユリアは自身が変態なのかもしれないと思う。
「あっ……、ふぁっ……」
断続的に切ない声がもれると、ふざけ半分のじゃれ合いも、だんだんとエスカレートしていくのだ。
大きな舌が敏感な蕾を捉えそうで捉えられない輪郭を、誘い焦らす様に這い回る。
自分でも気が付かない内に、体は舌の動きに合わせ、どうにか突起を撫でてもらいたくて自然にくねらせていた。
——触れて、欲しい。切ない……の。
もしかしたら、我慢できずそんな言葉を彼の耳元で囁いているのかもしれない。