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藍の果て
第6章 契約の妻

ある種、パルバナの男達と二人きりにされるより、安全な男。
徹底したデイジーへの執着に、ユリアも思わず口元が緩い弧を描く。
その表情の変化をあっさりと見抜いたシルヴァの眉間も更に深く刻まれていく。
「あ?何笑ってんだ」
「いえ、何でもないんです。ただ、シルヴァさん。デイジーをバルトには行かせないわ」
「テメェに決める権利は無ぇ」
「私が決めなくても、デイジーは行かないわ」
訝しげな表情を崩すことはなく、ユリアもまたシルヴァと向き合う様にソファーに腰掛ける。
シルヴァとは性格も、言葉遣いも違うが、デイジーとの出会いも、どこか彼は緊張感……というか、警戒心を持っている様だった。
比較的友好的に温厚に接してくるパルバナの男達と違ったので、彼の第一印象もとても印象的だった様な気がする。
「貴方がデイジーと別れたのって三年前だったんですよね?」
「その言い方、凄ぇ気色悪ぃんだが。まぁ、そうだな」
「私が、デイジーと出会ったのが三年前なの」
「?! 奴はパルバナ出身って聞いてたが、お前とずっと一緒に居た訳じゃねぇのか?」
「えぇ。私には、夫がいたから」
「はぁっ!??」
目を剥いたシルヴァは思わずソファーから立ち上がる。
彼の中の価値観では、絶対に有り得ない事だったからだ。
「お前、契約人が居るのに奴と契約を結んだのか?!あいつが、それを認めたってのか!?」
「信じられない?」
変わらず笑顔で問いかけてくるユリアの問いかけを、払う様に手を動かして瞳を細める。
「っつーか、違法だろうが!女が他の男と契約なんて、やって良い訳がねぇ!」
「そうね。けど、デイジーは……契約を結んでくれたの。私も驚いたわ、正直」
でも、直ぐに納得する事が出来た。
デイジーは————。

