この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
藍の果て
第6章 契約の妻


「一晩明けたら、必ず迎えに来る。だから、頼む」


深々と頭を下げて頼み込んだ男は、そのまま玄関を出て行こうとする。
「待って!」


気が付くと子供の手を引いたまま、ユリアは男の事も引き留めていた。
何故そうしたかは分らない。ただ、目の前の男は、自分に危害を加える為に来たわけでは無いと信じてしまったのだ。

それが、デイジーとの出会いだった。
















「夫を亡くした妻のその後なんて、酷いものだわ。
娼婦になったり、人身売買に率先して取引されに行ったり、既に商品の価値しか無い」


昔話を語りながらも、ユリアは目の前の青い瞳を観察していたが、同情どころか当然の事のように珈琲を飲むだけだ。



「弱い男を捕まえたのが運の尽きだ。それで生きれねぇなら、死ぬだけだろ」



バルトの下剋上を生き抜いてきた男の言葉は、極論だ。
死への恐怖も無いかのように平然と語っているが、世の中の人間皆がそうではない。
呆れたような表情を一瞬浮かべたが、生きてきた環境の事も考えれば仕方ないのだろう。
だが、少しだけ興味をそそられるのは……。



「じゃあ、貴方が愛した女性が、他の男に身を売ってしか生きれなくなったら、それでも同じ言葉が言えるのかしら?」



「あぁ?誰に向かって口聞いてんだ。そもそも、俺はそんな弱ぇ男じゃねぇよ。

っつーか、一人の女に固執する程飢えてねぇ。見栄えのする女位、一人死のうが、売られようが、新しいのが寄ってくる。そんだけだろうが」



「……好きな人、出来たことが無いの?」




「何だそりゃ?婚姻は契約だ。強い男に娶られれば、生き抜ける確率が上がる。それだけの話じゃねぇか。

バルトの女は強(シタタ)かだ。お前みてぇな考え方の女は居ねぇと思うぜ」



「私も強かよ。最初にデイジーと契約をしようとしたのは、貴方の言う通り生きていく為だったわ


……、媚びる為に色々な事をしようとしたけれど、デイジーは契約を結ぼうとはしなかったわ」



現に事情はどうあれ、流れる形として住み始めた彼は、決してユリアに手を出そうとはしなかった。
小さな子供・リオの手前というのも、勿論ある様な気がしたが……、ユリアを相手にせずとも、他の女性の影を匂わせる事が多々あった。







/88ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ