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ティア・リフレインに捧げる
第3章 胎内に埋められた淫欲の火照りは鎮まることなく……

 恐ろしかった。

 押しつぶされるような威圧的な声。

 それなのに、逆らいたくない。

 身を委ねてしまいたい。

 そんな衝動に駆られる不思議な魅力を秘めた声。

《望め!》

(ああ……従ってしまう……)

 望み。

 ティアの心の中に去来する、願って止まぬ情景。

(ああ……駄目……駄目よ……駄目!)

「そんなこと……おお、そんなこと!」

 部屋の薄闇の中に、ひと際濃い闇が生まれる。

 水面に落ち、滲みを拡げる墨のように。ひとつ、ふたつ、みっつ……。

 次々と生み出される影。その手足には鋭い異形の爪。

(ああ……いや……助けて!)

 迫る異形の者たちの裂けた口の中に並ぶ無数の牙。

(助けに来て……私の……)

「アレイ……」

 口を塞がれ、その名は途切れた。
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